東京には、イスラム教に基づく教育を受けられる「イスラム国際学校(イスラムインターナショナルスクール)」が複数存在します。これらの学校では、英語を中心に、日本語やアラビア語も学ぶことができ、イスラム教の価値観に沿ったカリキュラムが用意されています。

一方で、日本の公立学校に通うムスリム児童も増えており、各校ではそれぞれの事情に応じた柔軟な対応が行われるようになってきました。ここでは、実際に行われている支援の一例を紹介します。なお、対応の内容は学校によって異なるため、入学前には学校側との事前相談が推奨されます。


公立学校でのムスリム児童への具体的な配慮例

音楽の授業
宗教上の理由で楽器演奏や合唱ができない児童には、授業中に別室での自習を許可。

図画工作の授業
偶像崇拝を避けるため、自画像を描く課題の際には、代わりに風景や動物などを描くよう配慮。

給食対応
給食がハラールでない場合、お弁当を持参。ただし、可能な範囲で他の児童と同じように配膳などには参加。

ラマダン期間中
断食を行う児童には、給食時間に別室で静かに過ごせるように調整。

座席配置
男女の隣席を避けるため、女子児童が女子同士で座れるように座席を工夫。

水泳の授業
更衣は別室を使用。ブルキニ(肌を覆う水着)の着用を認める学校もあり、参加が難しい場合は見学で出席扱い。

体操着・制服
肌の露出を避けるため、長袖・長ズボンの体操着やスカートの下にタイツを履くことを許可している学校も。

礼拝(サラート)
お祈りの時間には、校長室などの空き部屋を礼拝スペースとして提供する事例あり。金曜礼拝への外出を認める学校もある一方、施設の都合で礼拝を家庭でのみ行うよう協力を求める場合もあります。


このように、日本の教育現場でも少しずつムスリム児童の信仰と文化に寄り添った取り組みが進んでいます。今後も学校と保護者が協力しながら、子どもたちが安心して学べる環境づくりが求められます。