日本で暮らすイスラム教徒にとって、文化や宗教の違いを越えた友情は、日常生活において非常に大切な要素です。とくに非イスラム教徒の友人たちと良好な関係を築いていくためには、ちょっとした“工夫”や“気づかい”がカギになります。

食事を通じた理解と共有

イスラム教では食に関するルール(ハラール)があります。たとえば豚肉やアルコールは禁止されているため、友人との外食の場ではその点を気にすることが多いです。

あるムスリムの大学生は「友人と食事をするときは、あらかじめ自分でハラール対応のお店を調べて提案しています。すると、友人も『じゃあ行ってみよう!』と好意的に受け入れてくれます」と話します。自分の信条を押し付けるのではなく、共有する形で理解を深めていくことが、関係を良好に保つ秘訣です。

お祈りタイムの工夫

イスラム教徒は一日に5回のお祈りを行います。日本ではお祈り用のスペースが限られているため、外出中や友人と一緒にいるときはスケジュール調整が必要になります。

「一緒に遊ぶ前に、祈る時間が必要なことを伝えています。最近では友人が“お祈りの時間大丈夫?”と声をかけてくれることもあり、嬉しいです」との声も。友人たちに前もって伝えることは、お互いの信頼と配慮を築く一歩です。

イベントやパーティーの対応

アルコールや男女混合の場への配慮も必要です。「飲み会には参加しないこともありますが、理由をきちんと説明すれば理解してくれますし、“ノンアル会”を企画してくれる友人もいて感謝しています」というムスリムの社会人もいます。

形式にこだわるのではなく、真心を持って説明し、代替案を一緒に考えることが、友情をより強いものにしていくのです。

日常の会話での気づき

宗教の話になると、戸惑う人もいますが、イスラムについて自然に話せるようになると、より深い関係が築けます。「礼拝やラマダンについて友人が興味を持ってくれると嬉しいし、自分も日本文化を学ぼうという気持ちになります」と語る人も。

知ること、話すこと、尊重し合うことが、宗教や文化の違いを乗り越える力になります。


まとめ
日本という多文化ではない環境でも、イスラム教徒は多くの創意工夫と前向きな姿勢で友情を築いています。大切なのは、お互いの文化や習慣を尊重し、オープンに話し合うこと。それが、異なる背景を持つ人々との心温まるつながりを生むカギになるのです。